2020/07/10

風寒のかぜと葛根湯

■かぜの中でも、背中がゾクゾクして筋肉のこわばりを 感じるかぜは東洋医学では「風寒のかぜ(風寒感冒)」と言われています。
風寒のかぜの特徴として、主に熱はなく(もしくは微熱程度で)、寒気があって肩や首のこり、手足に冷えがあるような場合が挙げられます。


風寒のかぜの中でも、ある程度体力があり、汗をあまりかいていない風邪の初期症状・肩や首のこりなどにオススメの漢方薬に葛根湯があります。

葛根湯には発汗を促す生薬が含まれています。
汗をかいて風邪を外へ追い出そうというイメージですね。

ただ単に身体を休めるだけでなく、身体を温め適度に汗をかくと良いでしょう。
身体を温める為にも葛根湯を湯に溶かしてのむのが効果的と言われています。

■一方、のどが腫れて痛い、身体が熱っぽい感じがする、のどが渇くようなかぜは 「風熱のかぜ(風熱感冒)」と言われています。


風熱のかぜをひいたら身体の熱を冷まして 炎症を抑える必要があるのです。
そんな風熱のかぜの、のどの痛みや口の渇きといった症状に使う漢方薬に、身体を冷やす生薬の入った「銀翹散(ぎんぎょうさん)」があります。

このように、漢方薬はその人の症状に応じて使い分けます。

また、漢方薬は西洋薬と比較して 身体にやさしいイメージがありますが医薬品なので、場合によっては副作用が起こることもあります。
体質にあわない場合や医師の治療を受けている時は医師・薬剤師に相談した上で正しくお使いください。

〇以前このブログで「かぜと漢方」というコラムを掲載しました。
→コラムの詳細はこちらから

ここではその時に紹介した漢方薬でも特に代表的な「葛根湯」の成分について もう少し詳しく解説してみましょう。

【葛根湯の成分について】
葛根湯は、大棗(タイソウ)、桂皮(ケイヒ)、芍薬(シャクヤク)、甘草(カンゾウ)、 生姜(ショウキョウ)、葛根(カッコン)、麻黄(マオウ)の7つの生薬から構成されています。

それぞれの生薬には次のような効果があるのです。

(葛根)
発汗させる作用があり、首や肩のこり、筋肉のこわばりを和らげる働きがあります。

(麻黄)
交感神経を刺激するエフェドリン類が含まれており、発汗を促します。

(大棗)
ナツメの実を乾燥させたもので胃腸の働きを整える効果があります。

(桂皮)
発汗を促し、熱を冷まします。

(芍薬)
筋肉の緊張を緩和し、血行を良くする作用があり、鎮痛作用もあります。

(甘草)
主成分はグリチルリチンであり、炎症を抑える効果があります。

(生姜)
身体を温めて、発汗する作用があります。胃腸の働きを整える効果もあります。
 
【どんな人に向いてるの?】
葛根湯は、発汗の少ない人、体力のある人、(体力中等度以上)に向いている漢方薬です。
感冒の初期に服用することで 身体を温め、発汗を促し、症状を改善します。
よって、ゾクゾクするかぜのひき始めに服用するのが効果的なのです。
先述した通り、身体を温める為にも 葛根湯はお湯に溶かしてのむのがオススメです。

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【参考資料】
三浦於菟、河野吉成、板倉英俊、田中耕一郎、橋口亮 感冒の東洋医学的病態像(第1報)
川添和義 薬局で買える症状から読み解く漢方薬のトリセツ 株式会社じほう
永田勝太郎 体質・症状・病気で選ぶ漢方薬の手引き 増補改訂版
福井市福祉保健部 子育て支援課 はぐくむ.net携帯サイト Vol.8-インフルエンザと漢方

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