ポピドンヨードについて
ポピドンヨードとは、ポリビニルピロリドン(PVP)とヨウ素の複合体です。
ヨウ素は強力な酸化作用があり、これを利用して殺菌・消毒作用が示されているのです。
昔、よく見かけた「ヨードチンキ」や「希ヨードチンキ」は、ヨウ素をエタノールに溶かしたものです。エタノールが使われていたため、傷口に使うとしみたり、人体への刺激が強いのが欠点で、現在はポリビニルピロリドン(PVP)とヨウ素の複合体であるポピドンヨードが広く普及されています。
*殺菌と消毒について**
「殺菌」とは、細菌・ウィルスなどの微生物を殺滅させることを意味し、「消毒」とはこれら病原性や有毒性を有している微生物を物理的方法および化学的方法を用いて完全に殺滅、もしくは除去する方法をいう。物理的方法には熱、濾過、紫外線があり、化学的方法には液体である消毒薬(殺菌剤)および気体であるオゾンなどがある。
消毒薬とは、
病原微生物の量を対象となる生体の感染閾値以下にまで殺滅または除去するための薬液であり、有効な微生物の種類で大きく「高水準消毒薬」「中水準消毒薬」「低水準消毒薬」の3つに分類される これらは使用される部位や、器具にも違いがある。
ポビドンヨードは中水準消毒薬に分類され、クロルヘキシジンは低水準消毒薬に分類される。
- ポビドンヨード(中水準消毒薬)
【長所】
・広範囲の微生物に有効
・皮膚粘膜に対して低刺激性
・持続効果がある
・手術部位の消毒や創傷部位の消毒など人体の消毒に適している
・着色されており消毒した部分が目視でわかる
【短所】
・衣類などに着色する
・ヨード過敏症の人には使用できない。
- クロルヘキシジン(低水準消毒薬)
【長所】
・臭気・皮膚刺激性が少ない
・腐食性が少ない
・皮膚、器具等広範囲に使用可能
【短所】
・粘膜には使用禁忌(アナフィラキシーショックを起こす可能性あり)
・抵抗性を示す菌がある
・次亜塩素酸ナトリウムと混合すると褐色に変色
薬事日報 2015年10月7日版 より